【産経新聞社】関西甘味(スイーツ)図鑑(2013.10.19朝刊)

神戸凮月堂の「ブラデルアルザシアン」

見かけによらず大人の刺激

「ブラデルアルザシアン」1365円

「ブラデルアルザシアン」1365円

銘菓ゴーフルで知られる神戸凮月堂は1897(明治30)年創業の老舗菓子店。今年5月、大きな転機が訪れた。神戸元町本店のコンセプトを大きく変えたのだ。全商品がそろうショールーム的存在だったが、ゴーフル以外は本店のみで購入できる商品にした。決断したのは社長の下村治生さん(46)。フランス・アルザス地方出身のパティシエ、ジャン・ジャック・エリシュさん(56)を招き、季節感あふれるヨーロッパの洋菓子を本店に持ち込んだ。

「ブラデルアルザシアン」はアルザス地方の伝統的な焼き菓子の詰め合わせ。スパイスがよく効いたものが多く、なじみの薄い日本人には敬遠されることも…。エリシュさんは嗜好(しこう)の違いに苦慮しながら、スパイスを少なくするなど調整し、1年がかりで完成させた。しかし、それぞれ味と香りは個性的で、日本の「甘い」「香ばしい」が中心の焼き菓子との隔たりが大きいため、アルザスのお菓子の詰め合わせとして販売することにした。

ほのぼのとしたイラスト付きの缶に入っているが、中身は刺激的だ。スパイシーで、意外な食感の焼き菓子。子供より大人向けで、お酒にも合う。

「レッケルリー」はフカッとした生地に香ばしいナッツやドライフルーツが入っている。シナモン、アニス、カルダモン…といったスパイスが癖になる味はドイツ菓子のシュトーレンに通じる。エリシュさんのお気に入りは「パンデピス・オランジュ」。もっちりとした生地の食感がういろうを思わせる。スパイスがひと際効いた菓子だが、ゆっくりとかみ締めるほどに、ほどけるように香りが広がる。オレンジピールが主旋律を奏で、クローブ、シナモンが脇を固めてバランスを整える。

エリシュさんを驚かせたのは、日本人のチームワークの良さだ。結果を急がず、じっくりと話し合う姿に、粘り強い日本人の精神を見た。カウンターでスイーツを提供しながら、お客さんとの会話を通じてフランス文化を伝えるエリシュさん。話が弾むと、アルザスのスパイシーなお菓子をお客さんに試食してもらう。

「スパイス香が苦手だったお客さんも徐々に慣れ、おいしいと言ってくれるようになりました」とエリシュさん。日本人並みの粘り強さでじっくりと着実に本場の味に近づけている。

(文と写真「関西スイーツ」代表・三坂美代子)

「ブラデルアルザシアン」1365円

【もうひとこと】元町本店のスイーツを味わえるスイーツパーティーが11月2、3日に開かれます。両日とも午前11時~、午後3時~の2回です。
詳しくはこちら https://www.kansaisweets.com/?p=10845

神戸凮月堂 元町本店
【住  所】神戸市中央区元町通3の3の10
【電  話】078・321・5598
【営  業】午前10時~午後8時(元日のみ休み)
【最寄り駅】JR元町駅

msn産経ニュース 2013.10.19 10:00
産経関西 スイーツ物語 2013.10.20 05:46