【産経新聞社】関西甘味(スイーツ)図鑑(2013.12.14朝刊)

バウムクーヘン「リッチフィールドの樹」S1143円

バウムクーヘン「リッチフィールドの樹」S1143円

リッチフィールドの「バウムクーヘン」

工夫が生む魔法の食感

郊外型スイーツ店の草分け的存在である神戸市西区の「リッチフィールド西神中央店」。先日の10周年記念フェアでは10日間で約9千人の来客があった。約40台の駐車が可能で、広々とした店内はバウムクーヘン、焼き菓子、生ケーキ、デコレーションケーキ、ギフトなどのカテゴリーに分かれ、顧客は回遊するように時間をかけて楽しくスイーツを選ぶことができる。

オーナーシェフの福原光男さん(58)は同市須磨区の名店「ボック」の次男として生まれ、45歳で独立するまで兄の敏晃さん(60)と同店の味を支えてきた。「伝統の味を受け継ぎ、そこに自分の個性をミックスさせ、新たな境地を開きたい…」。福原さんは独立後の2号店となる西神中央店のオープンに合わせ、バウムクーヘンの開発に取り組んだ。

“しっとりふわり”の食感を出すため「焼き方」と「材料」に独自の工夫を凝らした。今やソフトタイプのバウムクーヘンの代表格となっている。

バウムクーヘンは棒に生地を均一にかけてオーブンに入れて焼き、焼き色がつくと取り出して、また生地をかけてオーブンに入れて…を繰り返して年輪ができる仕組みだ。同店のバウムは21~22層だが、半分の11層くらいでいったん止め、40~50分おいて再び焼き始める。止めずに焼き続けると、中心に近いところの水分が逃げてしまう。2度焼きにすることで、しっとり感を保つことができるのだ。

アーモンドと砂糖を練り合わせた自家製「ローマジパン」はしっとりと艶やかな舌触りを引き出し、タピオカでんぷんや米粉ははじけるような口どけのもととなる。

一口かみ終える前にスッと消える口どけの早さが、食する人に魔法をかける。つい食べ過ぎてしまうこともしばしばだ。控えられた甘味と香ばしいアーモンドと卵の風味が郷愁すら感じさせる。表面の白いフォンダンが甘味のタッチを変化させ、食べ飽きることがない。

店がある樫野台の「樫」は、バウムクーヘンの軸に使われる木。堅く燃え難い特性があり、本場ドイツでも伝統的に使用されている。福原さんの直向な努力から生まれたバウムクーヘン「リッチフィールドの樹」は、流行に左右されない堅(けん)牢(ろう)な看板商品となっている。

(文と写真「関西スイーツ」代表・三坂美代子)

バウムクーヘン「リッチフィールドの樹」S1143円

【もうひとこと】25日まで兵庫県宝塚市のエキマルシェ宝塚で福原兄弟の初コラボ販売会「ボックさんとリッチさん」が開かれています。等身大パネルの展示もあるそうです。

リッチフィールド西神中央店
【住  所】神戸市西区樫野台5の4の6
【電  話】078・996・7775
【営  業】午前10時~午後7時半(不定休)
【最寄り駅】神戸市営地下鉄西神中央駅

msn産経ニュース 2013.12.14 10:00
産経関西 スイーツ物語 2013.12.15 11:25