【産経新聞社】~スイーツ物語~正月のお楽しみ「ガレット・デ・ロワ(2010.1.6 朝刊)

?今日、1月6日はキリスト教の祭日「公現祭」。フランスでは「ガレット・デ・ロワ」という菓子を家族で食べ、新年の幸せを祈ります。伝統のシンプルなアーモンドクリームが入ったパイで、紙製の王冠飾りがついているのが特徴です。
 パイの中には「フェーブ」と呼ばれる小さな陶器の人形が1つ入っていて、それが当たると紙の王冠をかぶり「王様」となって、家族から祝福されるお楽しみがあります。だから、「ガレット―」を切り分けるとき、小さな子供はテーブルの下にもぐらされたり、目隠しをされたりして、大人たちは子供に「フェーブ」の入った皿を配るのだそうです。


 フランスで正月に不可欠な「ガレット―」ですが、日本ではなかなか定着しませんでした。東京都洋菓子協会副会長でパティシエシマのオーナー、島田進さんが伝統菓子の魅力や文化を伝えたいと考え、「クラブ・ドゥ・ラ・ガレットデロワ」を平成15年9月に設立しました。

 クラブが主催するコンテストは昨年で7回を数え、優勝者はフランス・パリで行われる「ガレット―」コンクールに参加できます。本場でも毎年上位に食い込む健闘ぶりで、年を追うごとにコンテストへの参加点数も増え、審査が困難を極めるぐらい多くの秀作が寄せられます。

 関西では京都のオ・グルニエドールの西原金蔵さんやガトー・ド・ボワの林雅彦さん、コムシノワの西川功晃さんらが中心となり活動をもり立てています。
 しかし、最近は「フェーブ」が異物混入と誤解される恐れがあるため、代りにナッツを入れたり、「フェーブ」を別添えにしたりして販売する店が多いようです。正月のお楽しみ菓子として提供したいと、伝統を守りつつ、時流に沿うようアレンジするのは日本人の得意分野かもしれません。(写真:ガトー・ド・ボワのガレットデロワ)

(関西スイーツ代表/三坂美代子)
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