【産経新聞社】~スイーツ物語~「神戸」に注がれる南国の情熱 (2009.12.16 朝刊)

 
午前10時。コンテスト会場に、105個のクリスマスケーキがズラリと並びます。
審査するのは兵庫県洋菓子協会の役員及び技術部の委員。ほとんどの方が過去に、このコンテストで優秀な成績を修められています。
参加者の思いがわかるだけに、審査の目も真剣そのもの。
「ここをもっとこうすれば良いのに・・・」。審査をしながらも、我がことのように力が入ります。

審査終了直後、作品がひとつ崩壊しました。直前に撮影していたデジカメの画像を元に、「きっとこうだろう・・・」と、修復がはじまります。
作業を指示するのは審査委員長のケーキハウスツマガリのオーナーで同協会副会長、津曲孝さん。もちろん、自社のパティシエの出品作ではありません。道具を片手に実際の修復作業に携わるのは、兵庫県洋菓子協会の若手技術部員のたち。瞬く間に作品は復元されました。

お菓子づくりへのこだわりや、一人でも多くのお菓子職人を立派に育てたいという願いは、時に会社やお店の枠組みを飛び越えてしまいます。損得抜きの彼らの気概こそが、神戸の洋菓子のプライドです。

津曲さんはその飽くことなき探究心と大きなお声で(?)、絶大なる存在感を
示し続けておられます。
津曲さんはエーデルワイスのご出身で、現協会会長でエーデルワイス会長、比屋根毅さんとともに、神戸の洋菓子界を支える重鎮です。

石垣島出身の比屋根さんと、それを支える宮崎出身の津曲さん。「神戸のお菓子の今」は意外なことに南国生まれの頑健なパワーが原動力となっています。そして、神戸っ子よりも深い「美味しいお菓子」への熱い想いが源となっているのでしょう。

すべての出品作は25日まで(21日は休館)の午前9時-午後10時、兵庫県立芸術文化センターの共通ロビーに展示されています。
(関西スイーツ代表/三坂美代子)
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