【産経新聞社】大阪甘味(スイーツ)図鑑(2013.3.9朝刊)

パティスリーリスボンの「都島北通りシフォン」

別添えのソースに旬の味

「リスボン」は平成22年、大阪市都島区にオープン。オーナーシェフの山下理弘さん(35)は同市旭区で父が経営する店(リスボン)から独立した。「ショーケースから季節の移ろいを感じていただけるように、いつも新鮮な素材を取り入れています」と語る。

「都島北通りシフォン」はそんな思いの中から生まれたケーキだ。一般的にシフォンケーキには生クリームが添えられるが、同店は別添えのソースを用意。これ を季節によって変えているので、旬の味を楽しむことができる。キャラメル、京抹茶、フランボワーズ、メープル…。シンプルな生地だけのケーキなのに、食べ 飽きることがない。

「鹿児島の『旨赤卵(うまからん)』との出会いがシフォンケーキを始めたきっかけです。卵黄が赤く、生地を焼くと、おいしそうな色に仕上がります。生地がメーンのケーキは卵独特の臭いが課題ですが、この卵を使うと、懐かしい砂糖が入った卵焼きの良い香りがしました」

北海道のビート糖の丸みのある甘味と、岐阜の小麦粉のうまみも生地の味わいを深くする。卵や粉の風味をコントロールするのは、ふんだんに使われているマダ ガスカル産のブルボンバニラだ。クリーミーで甘みを持ち、生地がなめらかで豊かな味わいになる。これがベースとなり、香りのパーツを最高の状態に組み上 げ、シフォンケーキが完成する。

生クリームをたっぷりつけても、滑らかな生地はすぐさま一体となって、のどの奥へと滑り落ちる。ソースは様子をみながら少しずつ。生地の味と香りの存在感を失わないギリギリのポイントを、食する側が皿を見つめながら感覚で探ることも楽しみのひとつだ。

良い素材を直感で見極め、日々五感で向き合う山下さん。洋菓子店に生まれ育った環境と受け継いだ感性は、菓子職人として何物にも代えがたい財産だ。

(文と写真「関西スイーツ」代表・三坂美代子)
「都島北通りシフォン 別添え北海道生クリーム付」1050円

【もうひとこと】
別添えのソースをその日の気分で選べるのがうれしいですね。お取り寄せもできます。

【住  所】大阪市都島区都島北通1の1の5
【電  話】06・6925・7707
【営  業】午前9時~午後11時(不定休)
【最寄り駅】大阪市営地下鉄谷町線都島駅

msn産経ニュース 2013.3.10.10:00
産経関西 スイーツ物語 2013.3.9