【産経新聞社】関西甘味(スイーツ)図鑑(2013.5.25朝刊)

パティスリー キタガワの「キャトルショコラ」

一口で4つの味を楽しむぜいたく

フランス語でキャトルは数字の4。「キャトルショコラ」はクッキー、スポンジ、クリーム、チョコレートの4つの層からなるお菓子だ。開発したのは 「パティスリー キタガワ」(大津市)のオーナーシェフ、北川宏さん(48)。神戸の老舗洋菓子店、ケーキハウスツマガリで修行し、製造本部長を経て平成 17年に郷里で店を構えた。

当時の売り場面積は10平方メートル程度で5人も入ると身動きができなかったが、厨房(ちゅうぼう)は広々としていた。“売ること”より“作ること”が優先と言わんばかりの北川さんらしい店だった。3年後、ゆったりとした現在の店に移転した。

北川さんのお店はオリジナルのお菓子が圧倒的に多いのが特徴。「既存のお菓子や材料を科学的に分析して理解してしまえば、目的に合わせていくらでもお菓子 を作ることができます」と北川さん。上質な素材を手に入れ、食感、口溶けを自在にコントロールできれば、思うがままのお菓子を作ることができるのだ。

「キャトルショコラ」は4つの味を一口で味わうことができるぜいたくなお菓子だ。

チョコレートの口溶けのスピードに合わせるため、クッキーとスポンジは粉を控え、口に残る質感をピッタリ合うように生地の厚さを調整して焼く。しっかりと泡立てたバタークリームにクーベルチュールをあわせたクリームはチョコレートと速度を競うように口内の温度で溶ける。

サックリと心地よい歯応えもつかの間、トローリと溶けたチョコレートがスポンジと一体になって口中を満たす。クッキーを食べているような、スポンジケーキを食べているような、チョコレートを食べているような…不思議な気持ちになる。

「キャトルショコラ」「キャトルティベール(抹茶味)」の誕生から6年が経過した昨年、「キャトルフレーズ(苺味)」「キャトルノワゼットオレ(キャラメルミルク味)」がラインアップに加わり、「キャトルショコラ」4種類の完成形となった。

パッケージのデザインを一新し、色とりどりの花やおいしいお菓子が実る“ふしぎな木”と、訪れる動物たちのストーリーを描いた。カラフルで楽しい絵が多彩な味を連想させる。北川さん自身が“ふしぎな木”ではないのか。

(文と写真「関西スイーツ」代表・三坂美代子)
「キャトルショコラ」1個210円、8個入り1680円

【もうひとこと】これからの季節は冷蔵庫で冷やすと一層おいしくいただけます。

【住  所】大津市青山5の13の17
【電  話】0120・569・160
【営  業】午前9時~午後6時(第2、第4水曜定休)
【最寄り駅】JR南草津駅

msn産経ニュース 2013.5.26
産経関西 スイーツ物語 2013.05.26 06:24