「全粒粉のクリームパン」は1個210円（税込み）
bread market やさしい風の
「全粒粉のクリームパン」
じっくり炊き上げ濃厚な味わい
兵庫・尼崎で今、人気が赤丸急上昇のパン屋さんで、店名は長女の優空（ゆら）ちゃん（８）、次女の風空（ふあ）ちゃん（４）の名前に由来する。
オーナーシェフの片桐力さん（３６）は、神戸のブーランジェリー「コム・シノワ」や京都にあるパンとお菓子の店「レ・フレール・ムトウ」などに勤務した後、平成２５年に自分の店を構えた。
コム・シノワでは、西川功晃シェフ（現サ・マーシュのオーナーシェフ）のパン作りへの真摯（しんし）な姿勢に大きな影響を受けた。西川シェフはパン業界の流れを大きく変えた有名なパン職人だ。
「西川シェフとの出会いがなければ、自分のパンとの向き合い方は違っていたと思います」と片桐さん。
次に勤務したレ・フレール・ムトウでは、シェフとして４年間、店を任されるほどに成長した。
「ありとあらゆるパン作りに挑戦し尽くした末、自店をオープンする段になったとき、メニューも考えていないほどニュートラルな状態でした」と話す。
修業した店のレシピは持たず、「今その瞬間、自身や家族が食べたいと思うパン」を毎日作り始めた。
全粒粉のクリームパンは、ある日の失敗が生んだヒット作だ。生地がベトベトになってしまい、目の前にあった全粒粉を入れて焼くと、しっとりしているのに口どけが良い絶好の状態になった。
「一期一会は偶然ではなく、運命だと思います」と片桐さんは語る。
こうして誕生した全粒粉のクリームパンは、生地４０グラムに対して９０グラムのカスタードクリームが詰まっている。クリームの周りに薄く生地をまとっているような状態だ。
バニラビーンズがしっかり入ったカスタードクリームの製法には、洋菓子店での経験が生かされている。ほとんど粉を使わず、卵と牛乳、砂糖、バターを合わせ、長時間かけて火を入れて、じっくりと炊き上げる。濃厚でコクのあるクリームに仕上げている。
とろんとしたクリームと、しっとりとした生地が口の中で一体化する。バニラの甘い香りとともに、パン独特の粉の香りがふわりと鼻腔をくすぐる。
「パン作りの醍醐味は、発酵から生まれる熟成された旨味をどう使うかです」と片桐さん。
パンの生地は洋菓子と違い、酵母の働きによって生地の間にあたかもやさしい風を送り込んでいるよう。これぞスイーツパンの楽しみだ。
（文と写真「関西スイーツ」代表・三坂美代子）
≪もうひとこと≫
オープン日を記念した４月４～５日の周年イベントでは、人気のアイスパンの先行販売もあります。
bread market やさしい風
【住 所】 兵庫県尼崎市潮江２の１の１
【電 話】 ０６-７１６５-１９４０
【営 業】 午前７時～午後７時。月曜休み
【最寄り駅】 JR尼崎駅
msn産経ニュース 2015.3.14
産経関西 スイーツ物語 2015.3.14
2015.3.17.