【産経新聞社】関西甘味(スイーツ)図鑑(2013.10.12朝刊)

ハンドメイドの「シュー・フォルマッサージノ」

食べ飽きない故郷の味

「シュー・フォルマッジーノ」5個入り945円、10個入り1890円

「シュー・フォルマッジーノ」5個入り945円、10個入り1890円

フォルマッジーノはイタリアの赤ちゃん言葉で小さい子を意味する。赤ちゃんのほっぺをイメージして作られた生地から名付けられたハンドメイド(神戸市灘区)の新製品だ。

シュークリームのような外観だが、サクサクッとした歯ざわりではなく、しっかりと歯応えがあり、しかもモチモチッと弾力性のある生地で伸びがあり、新鮮な食感が面白い。中のクリームはクリームチーズをふんだんに使ったチーズクリームで、米粉を使用した和テイストのシュー皮に、イタリアンテイストのクリームチーズを閉じ込めた和洋折衷の新感覚スイーツだ。

企画したのは社長の正井啓介さん(41)。大学4年生の時に体験した阪神淡路大震災が、菓子作りの基盤となっている。当時アイスホッケーの兵庫県代表選手だった正井さんは、震災の数日後に始まった福島国体の出場を自粛することになっていたが、「元気・神戸」を伝えようと急遽(きゅうきょ)出場が決まった。

交通機関がストップしている神戸市内の自宅からヒッチハイクで新神戸駅にたどりつき、新幹線に飛び乗った。福島県の宿舎に着くと大歓迎を受け、各地の参加者から郷土土産を差し入れられた。開会式の入場行進で兵庫県がコールされると、会場全体から地鳴りのような声援を受け、体が震えた。温かい人情に触れ、「いつか地元を代表するようなお菓子を作って、人に感動を与えたい」と思った。

大手生命保険会社で営業や管理業務を経験した後、平成10年にハンドメイドに入社。6年で7店の店長を務めて実務を覚える傍ら、新商品の開発にも着手した。「誰でも知っている商品だけど、食べると違いがわかってもらえるものを作りたい」という狙いどおり、11年、一番初めに手がけた「神戸とろりん」プリンは意外な食感が人気を集め、同店の看板商品となった。

今年、おしゃれなイタリアンバールでスイーツを提供することになり、新商品開発はパティシエの大西貴弘さん(35)が手がけた。それがシュー・フォルマッジーノ。「イタリアンテイストにひとひねり加えた食べやすくて食べ飽きないスイーツを目指しました」と語る。

しっかりした生地と絶妙のバランスに配合されたチーズクリームをゆっくりと同時進行で楽しめるように、クリームの口解けにこだわりを感じる。もちもちの生地をゆっくりゆっくり味わう間に、優しい故郷の味がこみ上げてくるようだ。

(文と写真「関西スイーツ」代表・三坂美代子)

「シュー・フォルマッジーノ」5個入り945円、10個入り1890円

【もうひとこと】冷凍で取り寄せることもできるので、半解凍してアイス感覚も楽しめます。

ハンドメイド灘本店
【住  所】神戸市灘区城内通4の2の18
【電  話】078・801・2652
【営  業】午前8時~午後9時(1月1日休み)
【最寄り駅】JR灘駅

msn産経ニュース 2013.10.12 10:00
産経関西 スイーツ物語 2013.10.13 05:30