【産経新聞社】関西甘味(スイーツ)図鑑(2014.7.13朝刊)

「チーズロール 優」は1本1650円(税込)

「チーズロール 優」は1本1650円(税込)

Yoshihiko N nakagawaの「チーズロール 優」

妻への愛で糖質オフ

見た目はごく普通のロールケーキだが、味、食感は全く違う。しっかりと膨らんだ生地は、小麦粉と卵風味のカステラ味ではない。小麦粉の代わりに大豆粉、グラニュー糖の代わりに天然の甘味料を使っている。素朴でフレッシュな大豆の香りとサクッとした歯触りの生地は、しっとりふわふわのロールケーキをイメージして口に運ぶと少々、違和感を感じる。しかし、食べ進めると、弾力のある心地よい食感と懐かしい大豆の風味に郷愁を覚える。

 このケーキを開発したのは中川義彦さん(48)。京都市に生まれ、有名ホテルでシェフの経験をした後、10年前に店を構えた。妥協のない味への追及と、妻の佳美さん(49)の極上のサービスにも支えられ、オープンするや、たちまち人気店となった。

 「糖質オフのスイーツに取り組んだのは、一昨年、妻が入院したのがきっかけです」と義彦さん。胆のうを患った佳美さんは、厳しい食事制限を強いられた。一時は少量の油脂も体が受け付けない状態だったが、手術後は徐々に回復した。

 入院中に同室だったおばあちゃんの「口いっぱいに甘いものをほおばりたい…」という言葉も心にしみた。

 義彦さんは、糖質オフのケーキ開発に乗り出した。

 旧知の薬剤師で生活習慣病アドバイザーの木下晃一さん(44)の監修を受け、安心かつおいしいものを目指した。

 生地を膨らませるグラニュー糖が使えないのが、一番の難題。大豆粉も最初は全然ういて(膨れて)こなかった。

 苦心の末、ふっくらとした生地作りに成功。あっさりした生地にあわせるため、生クリームとクリームチーズを合わせ、インパクトのある味に仕上げた。

 チーズの濃厚なコクと、さわやかな酸味が味わいを深めている。

 ショーケースの片隅で販売を始めると、すぐさま反応があった。「お礼の電話をいただいたり、店に入る前から満面の笑みを浮かべておられるお客さまを見かけたり」と佳美さん。

 はじめはショーケースの片隅に、ほんの1、2アイテムで始めた糖質オフスイーツが、今はショーケースの3分の1を占め、新たに焼き菓子も開発することになった。中川さん夫妻の胸には、しっかりとした未来予想図が描れている。

(文と写真「関西スイーツ」代表・三坂美代子)

《もうひとこと》 「糖質オフ」とは、食品100グラム中の糖質が5グラム以下が条件。このチーズロール100グラムに含まれる糖質は3・13グラム。写真の1カットは約65グラムです。

yoshihiko N nakagawa
【住  所】京都市北区小山町228の5
【電  話】075・432・9124
【営  業】午前10時~午後7時(日曜は6時まで、月曜と第3、第5火曜は定休)
【最寄り駅】京都市営地下鉄烏丸線鞍馬口駅

2014.7.13

産経関西 スイーツ物語 2014.7.13

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