【産経新聞社】大阪甘味(スイーツ)図鑑(2012.2.18朝刊)


福壽堂秀信の「ふくふくふ」

「年々進んでいく“和菓子離れ”を何とかしなければ、という一心でしたね」

昭和23年、大阪・宗右衛門町で創業した「福壽堂秀信」。製販統括部の高木祐二本部長(53)が振り返る。

平成の時代に入り、当時生菓子中心だったラインアップを見直し、洋菓子感覚の新商品開発に当たった。

そ んな経緯で誕生したのが、見た目もきれいな色彩の丸い蒸しケーキ。割っても中から「餡(あん)」は出てこない。生地に練り込まれているのだ。この一風変 わったお菓子の名は「ふくふくふ」。店名から「福」の文字を取り、「大阪の街からみなさんに福を届けたい」との思いを込めて名づけられた。発売当初から話 題となり、縁起の良いネーミングと相まって手土産の定番となった。

「餡は和菓子の“命”。当社では製餡から手がけており、それぞれのお菓子に合った命を吹き込むことができるんです」と高木さん。

「ふくふくふ」の生地に練り込まれた餡は、その風味や食感を最良の状態に保つよう工夫されている。小豆を炊いて皮を取り除き、きめ細かく粉砕したものをさらにじっくり炊き上げる。餡を生地の中に違和感なくなじませ、自然な存在感を持たせるための欠かせない工程だ。

生地は、小麦粉と米粉を半々に使って蒸し上げている。この生地に餡を練り込むからこそ、口の中ですぐさま溶け出す洋風ケーキのスポンジとは異なり、しっとりとした舌触りの心地よさが生まれる。

さらに、洋のテイストである「バターのコク」をアクセントに取り入れたことで、餡の切れが際立っている。まさに和洋の垣根を飛び越えたスイーツである。

国産抹茶を使用した「抹茶」も定番商品。季節により「イチゴ」「マンゴー」「ショコラ」も人気です。

(文と写真 「関西スイーツ」代表・三坂美代子)

【住所】大阪市中央区宗右衛門町3の14
【電話】06・6211・2918
【営業】午前9時-午後9時半(祝日は午後6時まで、日曜定休)
【最寄り駅】地下鉄日本橋駅、近鉄日本橋駅

産経関西 スイーツ物語 2012.2.19
msn産経ニュース 2012.3.17.10:00