【産経新聞社】大阪甘味(スイーツ)図鑑(2012.7.28朝刊)

pon pon Ja ponの「pon pon coco」

 粟おこし おしゃれで鮮烈に

彩り豊かなパッケージに期待 感が高まる。「pon pon Ja pon」は文化2(1805)年創業の和菓子メーカー「あみだ池大黒」が昨年3月から高島屋大阪店に展開している新ブランド。大阪土産として根強い人気の「粟おこし」をもっと食べやすく、おしゃれに…と考案されたのが「pon pon coco」=写真=だ。名前も外 見もポン菓子が連想されるが、まったく別物だという。

四角形で生姜(しょうが)味 の「おこし」のイメージからの脱却を図ったこの新商品を手がけたのは、小林昌平専務(35)。創業家に生まれ、大学卒業後、金融関係の企業で7年間社会経 験を積んだあと入社。3年前、このプロジェクトに着手した。落ち着いた和菓子売り場の中にポップな空間を演出した意外性が当たり、若い女性客が列を作る人 気ぶりだ。

原料は粟おこしと同様、米。炊いたご飯を乾燥させたあと煎って少しふくらませる。米そのものから作るポン菓子との大きな違いはこの部分。ご飯とおかきの間ぐらいのふくらみ具合に調整することで、ご飯の味を残しながらおかきの食感も楽しめる。  それぞれの味付けは、風味と食感がベストのバランスになるよう工夫されている。「ドライフルーツ」はパインやレーズンの果肉がたっぷりと入り、甘酸っぱさ が口の中に広がる。「アーモンドカフェ」は香りを立てるために、数種類のナッツを煎ってから混ぜている。「ほろにが抹茶」にはたっぷりと上等の抹茶がふり かけられている。どれも“ガツン!”とパンチの利いた、鮮烈で濃密なフレーバーだ。

ポリポリッとした歯応えが心地よく、サックリと噛(か)むほどに口の中でフレーバーが広がっていくのが楽しい。米菓特有の風味と溶け合い、のどの奥でふわ りと立ちのぼる香気。と、その時、色とりどりのパッケージの魔力を感じる。自然と次の袋を開けたい衝動にかられてしまうのだ。

「お菓子になりそうな材料はないかと常に模索しています」と小林さん。夫人との何げない会話の中にヒントを見つけることもしばしば。カレー味やきんぴら味 もそうして生まれた。「甘いものだけじゃ物足りない」。全く畑違いの勤務先で旅先の土産や訪問先への手土産などに悩む機会があったからこそ、今でもお菓子 を消費者目線で捉えることができるのだろう。

フレーバーは現在12種類。「季節感のあるものをもっと増やし、年中楽しめるお菓子に」と小林さん。打ち出の小づちのごとく生み出されるさらなるアイデアを期待したい。

「pon pon coco」は1箱3個入り1348円、6個入り2595円、9個入り3841円

(文と写真「関西スイーツ」代表・三坂美代子)

【もうひとこと】
昔から「粟おこし」の材料は米だったそうです。お上ににらまれぬようネーミングを工夫していたのですね。

【住  所】大阪市中央区難波5の1の5 高島屋大阪店地階和菓子コーナー
【電  話】0120・36・1854
【営  業】7月は午前10時~午後8時半 (高島屋大阪店の営業日に準じる)
【最寄り駅】大阪市営地下鉄なんば駅 南海・近鉄難波駅

産経関西 スイーツ物語 2012.7.30
msn産経ニュース 2012.7.28.10:00