【産経新聞社】大阪甘味(スイーツ)図鑑(2012.11.3朝刊)

播彦の「澪々(みをみを)」

生地とクリーム 千変万化

大阪・島之内に創業以来160年。今は東大阪市に本社を置く老舗せんべいブランド「播彦(はりひこ)」の6代目社長、野村泰弘さん(54)は昨年、 「長年お世話になっている大阪の皆様に感謝し、大阪にちなんだ菓子を作りたい」との思いから“今までにない洋風せんべい”づくりに着手した。

洋風せんべい自体は、35年ほど前から製造・販売している。チーズやチョコレートなどを薄焼きせんべいに練り込んだのが始まりだ。「のれんは守るものでは なく興すもの」。先代からの教えが生んだ商品だった。時代は高度経済成長期を過ぎた円熟期。人々の生活様式や嗜好(しこう)が「洋」にシフトした状況を捉 えた快作だった。

「澪々」はその進化形といえる商品。「大阪」という大きなテーマを据え、見て美しく、食べておいしい菓子を目指した。商品化には、ホテルで修業を積んだパティシエの工場長が携わった。

こだわりは、せんべいの生地。抹茶やアーモンドなど、生地自体がフレーバーを持ち、異なるクリームを組み合わせることで、味に大きな変化が生まれた。

抹茶のせんべいには、ベルギー産のホワイトチョコレート。「抹茶のチョコレート」は今やすっかり定番だが、それをせんべいで表現した。濃厚なホワイトチョコレートの風味に、少し遅れて抹茶が香り立つ。

ラム酒漬けのミックスフルーツを練り込んだせんべいには、いちごクリーム。酸味のあるせんべいがクリームの甘味を引き締め、いちごショートケーキにも似た味わいに。異なるフルーツの香味が不意打ちで楽しめる。

アーモンドのせんべいには、ミルククリーム。ミルクのコクとアーモンドの香ばしさがぴったり合っている。

小麦粉と卵の生地にフレーバー素材を練り込んで焼き上げるのは、高度な技術が必要だ。生焼けになったり焦げ付いたりと難しく、それぞれの配合や焼き方に試行錯誤を繰り返した。

技術と並んで、焼き上がりを左右するのは卵の品質。毎朝届く新鮮な卵を自社で割って使う。せんべいづくりの基本といえる卵へのこだわりが、今までにない歯ざわりを生み出した。

商品名に、大阪とゆかりの深い「澪」を冠し、せんべいの表面には「OSAKA」の文字を刻んだ。ネービーブルーのパッケージが、「船出」をイメージさせる。

(文と写真「関西スイーツ」代表・三坂美代子)
8袋入り683円。12袋入り1050円

【もうひとこと】
百人一首のひとつ「わびぬれば今はた同じ難波なるみをつくしても逢はむとぞ思ふ」にも詠われた「澪」。大阪への思いがこもったネーミングですね。

【住  所】大阪府東大阪市稲葉2の2の22
【電  話】072・964・1414
【営  業】午前9時~午後7時(1月1、2日休業)
【最寄り駅】近鉄奈良線・河内花園駅

msn産経ニュース 2012.11.3.10:00
産経関西 スイーツ物語 2012.11.4