【産経新聞社】~スイーツ物語~クリスマスは総力戦(2009.12.23 朝刊)

 
 いよいよクリスマス。ケーキ屋さんが一年で最も忙しい時を迎えました。大手なら何千台、街の小さな店でも数百台の予約がこの数日間に集中します。

 関西スイーツではクリスマスケーキ購入実態調査を毎年行っています。今年の中間集計でも一番人気は生デコレーションケーキでしでした。

 このケーキは鮮度が命。店では指定された時間に合わせて大量のケーキを仕上げるため、大勢の手伝いが必要となります。

 大阪・豊中の有名店、ムッシュマキノでもこの時期だけのパートや以前働いていた方、仕入れ先の社員などが手伝いに集結します。
 パートの女性が休むことなくイチゴのヘタを取り、サイズを選別しています。辺りが暗くなるころ、指先はほんのりとイチゴの色に染まるそうです。箱を折ったり材料を運んだり、出来上がったケーキを運んだり、時には駐車場の交通整理までチームワーク良く、迅速にこなさなければ間に合いません。

 店内ではパティシエが次々と焼き上げるスポンジの芳ばしい香りが立ちこめています。スライスしたスポンジに出来立ての生クリームを絞り、イチゴやクリスマスのオーナメント(飾り)がトッピングされ、箱詰めされていくのです。

 オーナーパティシエの牧野眞一さんは前日仕込みが常識だった時代に、当日焼いた生地を巻いたロールケーキを販売。出来立ての風味豊かなケーキがおいしいと評判となり
、大阪を代表する有名店となりました。

 目が回るほど忙しいクリスマスの一日を終えた助っ人たちは、お店からのプレゼントのクリスマスケーキを大事に抱え、家庭に持ち帰ります。

 「おいしいケーキを作って、沢山の人の心に印象を刻みたい」という牧野さんの願いは、店を取り巻く沢山の人の手によってかなえられていくのです。 メリークリスマス。

(関西スイーツ代表/三坂美代子)
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