【産経新聞社】大阪甘味(スイーツ)図鑑(2012.3.24朝刊)

レジェールの「生キャラメルシフォンケーキ」
=舌先に残る鮮烈な余韻=

「大阪のケーキは大きくて、安くて、しかも美味(おい)しくないと売れない」シェフの水田勝秀さん(47)はこう語る。平成21年春、シフォンケーキに何かをプラスして新しいスイーツを生み出そうと思案中、当時大ブームとなっていた生キャラメルに閃(ひらめ)きを感じた。
「これだ!」と確信した水田さんは、さっそくこのケーキのために高価なスチームオーブンを購入。熱風で焼くタイプのこのオーブンは、従来の上火と下火で焼 くのと違い、高速で生地に火が通り、かつ安定した焼き上がりが可能に。仕事の効率を上げることで、ケーキの価格を抑えた。
「粘度の高いあめ状のキャラメルを、薄く均一にシフォンケーキへコーティングするのには困難を極めた」と水田さん。配合や温度を変え、さらに手早く作業を進めることにより、何度目かの挑戦でやっと完成させたそうだ。
また、キャラメルは美味しそうな茜(あかね)色に仕上げると苦味が強くなりすぎるため、コーティングに最適な状態をみつけるまで調整を重ねたという。
漆器の如く艶やかなキャラメルがきめ細やかなシフォンケーキを包み込む姿は、見ているだけで食欲をそそられる。
生地にキャラメルが吸い込まれるのは口の中に入れてから…。ふわ?っとしたスポンジの食感の中に、ひんやりとした滑らかなキャラメルが少しずつ口の中で溶けていく。
ケーキの中心にたっぷりトッピングされた純生クリームのホイップは甘さ控えめで、ほろ苦いキャラメルに深みのあるミルク味とコクを付加している。スポンジが消えた後には、キャラメルとミルクの鮮烈な余韻がいつまでも残る。大阪らしいインパクトのあるケーキの誕生だ。
(文と写真 「関西スイーツ」代表・三坂美代子)

【もうひとこと】
キャラメルは常温に戻すと軟らかくなり、一層美味しくいただけます。

【住  所】東大阪市今米1の14の17
【電  話】072・960・3000
【営  業】午前10時-午後9時(元日のみ定休)
【最寄り駅】近鉄けいはんな線吉田駅

産経関西 スイーツ物語 2012.3.24
msn産経ニュース 2012.4.14.10:00